今週のバロンズ7/28号にてアメリカのロボアドトップ10が発表された。
ランキングを制作したのはRobo Reportというレポートを発表しているBackend Benchmarking社。
パフォーマンスなどの定量評価50%、ユーザー満足度などの定性評価50%でスコアを算出し、ランキング。
これを読んで即座に以下のようなツイートをしたわけだが、
今週のバロンズはロボアドのランキング特集。
1位:Vanguard PAS、2位:Betterment…5位:Schwab、6位:Wealthfront
最低預け金5万ドルで人のアドバイザー重視のVanguardがトップに来るとは意外だったな。。やはり金持ってる人はブランドとローテクを好むということか。
この辺の考察はブログに書こう pic.twitter.com/6x7YAxhfhg— ソウスケ (@stndbym3) July 28, 2018
もう一度記事をじっくり読んでみるとまた少し違った側面が見えてきた。
結局のところ決め手は定量評価、特にパフォーマンスだったのだ。
2位のBettermentは機能の豊富さや情報の透明性などで検討したが、パフォーマンスで1位のVanguardに12ポイントもの差をつけられてはどうしようもない。
資産運用は1にも2にも結果が全てなのだ。
どんなにハイ・エンドでクールなテクノロジーを使っていても、結果が悪ければ顧客はさっさと出金して解約してしまう。
ほとんどの顧客はテクノロジーへの投資とか利便性とかそんな甘っちょろいもので大事なお金を預けているわけではなく、自分のお金を増やしてほしいから預けている。
いくら便利でも半年くらい預けて増えないなら「はい、おしまい」
逆にちょっと使いにくくても増えてたら「よしよし、もう少し続けてやろう」
シビアな世界なんですよ、資産運用って。
ちなみに顧客預かり資産の総額も1位はVanguardの1120億ドル。
2位にSchwabの330億ドル、3位にBettermentの145億ドル、4位にWealthfrontが110億ドルと続く。
1位、2位はすでに巨大な顧客基盤があり、その資産が相当数流れていると思われるので、
BettermentとWealthfrontは新興ロボアドのパイオニアとして十分頑張っているといえる。
さて、記事を読んでいてもう一つ驚くべきことがわかった。
なんとVanguardのロボアドはたった5つのETFで運用しているのだ。
それほど自社のETFに自信があるということの裏返しなのだろうか。
しかも、最初のアセット・アロケーション(資産配分)は人のアドバイザーがやるようで、
日々の運用のモニタリングとリバランスだけコンピューターがやるとのこと。
更に最低預け金がそれなりに高くて5万ドル(約500万円)。
まるで5種類の高級具材しか選べないサンドイッチを毎日食べているようで、
私のようなテクノロジー好きの人間としては面白くもなんともないのだが、
最初に言っているようように資産運用は結果が全て。
Vanguardのロボアドは割高な人のアドバイザーが顧客と対話して顧客のリスク性向を見ながら配分するが、
ETFをたったの5種類にすることと最低預け金が5万ドルとすることで割安な手数料(0.3%)を実現している。
さらに昨今のETF大人気の流れで個別のETF自体成績がよく、
そもそもETFの数が少ないのでリバランスによるコストもそれほど発生せず、パフォーマンスが良い。
システムをほとんど使っていないので開発にかかるコストもかなり抑えられている。
最初のグランド・デザインがVanguard向けに相当考えこまれており、それが完璧にワークしている。
まさに秀逸の一言である。
ちなみに、私が運用している(た)Bettermentは2位、Schwabは5位、Wealthfrontは6位と
それなりに健闘している。順位も私の体感と同じである。
Bettermentは「パフォーマンス除く」のランキングではダントツの一位。
機能や使いやすさは十分なので、今後はパフォーマンスを上げることに注力してほしい。
以上より、アメリカのロボアドランキングからわかる3つのことは、
- 資産運用は結果が全て。長期のパフォーマンスを重視したロボアドも例外ではなく、短期のパフォーマンスは顧客をつかむ上でものすごく重要。ちょっとでもパフォーマンスが悪くなると顧客はすぐ逃げてしまう。その時にいくら高度なポートフォリオ理論を振りかざしても悲しいほど効果がない。
- なんだかんだ言って顧客のほとんどは機械より人のアドバイザーを求める。みな自分の資産運用にかける熱い思いを誰かに聞いてほしいのだ。とはいえ、ガチのアドバイザーを頼むと1〜2%も手数料を取られるので、いかに安価に最小限のコストで人のアドバイザーを用意するか。それを実現したVanguardに今回は軍配が上がった。
- テクノロジーの優劣はパフォーマンスにはほとんど関係ない。私のお気に入りのWealthfrontは機械のアドバイザーしかなくて、節税機能やダイレクト・インデクシング機能など高度なテクノロジーがたくさんあったのだが、パフォーマンスはさんさんたるものだった。逆に人がメインでロー・テク路線のVanguardが高いパフォーマンスを上げている。
という身もフタもない事実となってしまった。。
やはりロボアドとはいえ人のアドバイザーは必須な気がするな。
日本にはそういうロボアド業者はいないようだが、積極的に導入していくべきだろう。
To be continued…
(⇨ロボアド編の序章はこちら)
(⇨ロボアド編のまとめはこちら)
最近のコメント
‐国際機関の採用セミナーに行ってみた‐ に ソウスケ より
‐国際機関の採用セミナーに行ってみた‐ に MA より
-ETF編- に アメリカに投資拠点を作ろう② -海外口座開設編- | MOLT.QT より
-Betterment- に アメリカのロボアドトップ10からわかる身もフタもない3つの事実 | MOLT.QT より
‐7回中4回落ちてわかった、たった1つの勉強方法‐ に ソウスケ より