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なぜ華のニューヨーク赴任中に転職を決意したのか?③
‐国際機関の採用セミナーに行ってみた‐

前回からの続き。

 

エリート臭漂う参加者の面々に場違い感を感じながら迎えた某国際機関のリクルーティングセミナーでしたが、

いざ始まってみると職員はナチュラルな出で立ちで、圧迫感もなく落ち着いた雰囲気で始まりました。

 

まずは会社説明および今回のセミナーの趣旨について説明を受けます。

「その国際機関に出資している金額の比率に対して勤務する日本人職員の比率が

明らかに少ない現状を改善するため、日本政府が日本人職員の増員を強力にプッシュした。

結果、今年は日本人募集枠の大幅な増加に成功したため、

現役職員を東京とニューヨークに派遣して大々的に採用活動を行うことにした。」とのこと。

さらに「今年はかなりのチャンスです。」とも付け加えてきます。

私は「内部の政治的な事情を結構ハッキリ言うんだな」と驚きながらきいておりました。

 

その後現役の職員たちによるパネル・ディスカッションが開かれました。

国際公務員のような安定した職業にはありがちですが、その職員たちは全員女性でした。

従って、有給などは取りやすいだろうし、残業なども少なく9時5時で帰れるのだろうと予想できます。

育休なども取りやすいでしょうし、遅い出勤や早退などフレキシブルな働き方にも柔軟なのでしょう。

ただ、実際に話を聞いてみると、アフリカを転々としながら(ほぼ)母子家庭で子どもを育ててきたというような

パワフルな生き方をしている女性が多く、温和そうな見た目とは裏腹に自立したガッツのある女性が多いように感じました。

 

パネル・ディスカッションの後は質疑応答の時間が設けられたのですが、

「どの募集要項も期間が3年と区切られているのはなぜか。この期間は絶対なのか」

「実際の選考ではどのような能力が問われるのか」

「仕事をする中で最も辛かった経験と最も楽しかった経験を教えてほしい」

など、かなり?な質問が多かったように思えます。

私はむしろ期間は3年と決められていたほうが色々と計画しやすいからいいと思っていたし、

選考で問われることなんて、「どのような経験を積んできていて、それが求められている業務と合致しているか」

が全てであって、「能力」とか眠たいこと言うなよ、という気持ちでした。

ましてや「最も辛かった経験」なんて聞いてどうするんでしょう?

そんなの職種によって全然違うだろうからほとんど参考にならないでしょう。

他の質問も大体、新卒のときの入社説明会で出てくる質問みたいなものが多く、

なんだエリート集団だと思ったけど中身は新卒みたいなフワフワしたやつばっかりか、と若干ガッカリしました。

 

そこで私はここまでの「意識高い系()」の流れに嫌気が差したので、空気を読まず「意識低い系」の質問をしてみました。

「私は家族も海外に連れて行くつもりであり、小さな子どもが二人いるので、子どもの学校など生活面に不安がある。

話を聞くに○○さんは海外で子育てをされていたとのことだが、そのあたりのサポートはどの程度あるのか」

私のような家族連れにはかなり重要な質問で、

ここが不足しているようならそもそも応募すらしない(できない)つもりだったので思い切って聞きました。

 

意外にも、戻ってきたのは「待ってました」とでも言わんばかりの反応でした。

いかにその会社の海外赴任や家族へのサポート体制が充実しているかを色々な例を交えて詳しく解説してくれました。

しかも一人だけでなく数人が率先して「私も、私も」と、それまでの死んだ魚のような目とは打って変わって

水を得た魚のように勢い良く答えてくれたのです。

私も「これは、意外にも良い質問をしたのかな」と妙に自信を持ってしまうほどでした。

この充実したサポートこそがこの勤め先の(条件面で)最も良い点だと、職員側が強く感じているような気がしました。

 

その後は個別相談会のようなものがあって、私はお目当ての人事責任者のところにスッと並びました。

最初は私とあと一人くらいしか並んでなくて、みんな周りの様子を見ながら、という感じでした。

ハンター・ハンターという漫画のハンター試験の例を挙げるまでもなく、

こういうときは様子を見ても無駄で、初動は早ければ早いほどいい。

お陰で自分は2番目だったのですぐに順番が来て、時間もあまり気にせずに色々な質問ができました。

質問を受ける側もまだ二人目なので疲れてもおらず、好意的にどんどん答えてくれます。

自分がクオンツポジション志望であることを伝えると、

「その職種は応募が少ないからチャンスかもしれない」と嬉しい情報をくれ、さらに名前も控えてくれました。

 

その後もう一人の人事担当者と話をするため待っていたのですが、

前で質問していた若い男性2人が正直ひどかったです。

遅刻してきて最初の説明をきいていなかったのでしょうがないのですが、

その説明で話した内容ばかり聞いていました。職員は若干困惑顔でしたが丁寧に答えていました。

特に「この募集要項にかかれている職務経験はないのだが大丈夫だろうか」という質問には耳を疑いました。

必要な職務経験については募集要項に明確に条件として記されており、それに該当していないというのは、

はっきりいって無茶苦茶です。聞かれた方もさすがに苦笑いしていました。

それを「当然大丈夫ですよね」と自信満々に質問しているのがさらに理解できませんでした。

完全に日本の新卒採用でよく見られる、ポテンシャル採用の弊害だなあと感じずにはいられませんでした。

海外にせよ日本の転職にせよ、日本の新卒以外での就職では募集要項が全てであって、

少なくともその条件に合っている人の中で選考されるのが基本です。

条件に合っていなくても面接に呼ばれることももちろんありますが、

あくまで条件に合致した人が少なかったり、本命に断られた場合の「補欠枠」としての面接となります。

 

それだけではなく、別の中年の女性が

「20年アメリカで働いてきたため英語は全く問題ないのですが、

アドミニの仕事しかしたことありません。応募しても大丈夫でしょうか。」

と質問しているのが聞こえてきたこともありました。

「え?アドミニというとコピー取りやスケジュール管理、来客案内などの事務仕事ってことだよな?

結構勢いでぶっこんできちゃう人多いんだな…」という印象を受けました。

 

そんなこんなで説明会を終わり帰路についた私は、始まる前の不安な気持ちとは打って変わって

「これ、結構いけるんじゃないか?」と逆に自信が深まっていくのを感じていました。。。(次回につづく)

 

To be continued…

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コメント

  • コメント (2)

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    • MA
    • 2020年 12月 15日

    海外駐在員の変遷や国際機関の採用セミナーの生の話は貴重なので興味深く拝見させて戴きました。
    続きを楽しみにしております。

      • ソウスケ
      • 2020年 12月 15日

      応援ありがとうございます!とても励みになりました。
      長らく筆が止まっておりましたが、続きを書く気になりました。がんばります!

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