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英米型教育の光と闇 1%の天才のために99%が犠牲になる教育とは

今回は少し路線を変えて海外での子育てについて書いていく。
まずはじめに筆者の背景を軽く述べておきたい。

筆者は中・高・大と国公立の学校で教育を受けており、日本の基本的な教育システムについては人並みに知っているつもりである。

その筆者が3年ほど前に海外赴任の命を受け、英国2年と米国1年と短期間ではあるが2人の子ども(一人はもうすぐ小1、もう一人は年中 )を現地の公立校に通わせてきた。

日々学校から持って帰ってくる宿題やその教え方、理解度、年に2回ほど行われる教師との面談などを通して筆者が感じた英米型教育の光と闇を、日本型教育との比較を通してざっくばらんに綴っていきたいと思う。

ちなみに英国は4歳から公教育が始まり、米国は5歳から。どちらも日本より公教育のスタートが1〜2年早い。英国が早いことには理由がちゃんとあって、小さいうちから学校に行って勉強することは統計的に効果が高いことが証明されたためだ。詳しくは英国政府が出している以下のリンク(英語)を読んでほしい。

Early years foundation stage statutory framework (EYFS)

 

さて、タイトルにも書いたが、欧米型教育とは一言でいうと「1%の天才のために残りの99%が犠牲になる教育」であると思っている。(ちなみにこのフレーズは京大の教育システムへの批判としてよく使われてきたフレーズなので聞いたことがある人もいるかと思う。)

なぜそう思ったか。それを算数という言語の影響の少ない科目を取り上げて述べていきたいと思う。

①基礎の練習量が日本より圧倒的に少ない。

例えば繰り上がりのある足し算を教えるとする。

日本の場合は2,3問授業で教えたらあとはひたすら算数ドリルをガリガリやっていく。1年生でも繰り上がりだけで100問くらいは余裕でやると思う。

これによって授業ではよくわからなかった子どもも数をこなすにつれてわかってきて、(あるいはパターンとして記憶してしまう子も多いかも)10ページこなすころにはみんなそれなりに解けるようになっている。

一方英米の場合、授業では同じように教えているようだが、その練習問題がほとんどクイズみたいな頭を使う問題ばかりで、数もかなり少ない。

例えるなら、数学好きな人が「これは面白い問題だよね」なんて言っている問題ばかりあるようなイメージ。数学がそれほど好きでない人にとっては難しいだけで面白くもなんともない奴だ。

これだとわからない子はいつまでたってもわからないだろうし、わからないと解けないからつまらないし、と負のスパイラルに落ち込んでしまう。逆にわかる子はどんどん解けるから楽しいし、そういう子には先生もさらに面白い(難しい)問題を出してあげる。それをうんうん考えながらわかったときの楽しさに味を占めてさらに面白い問題を求めてどんどん能力が上がる、と正のスパイラルに乗る。

両者の学力差は開く一方だ。

落ちこぼれてしまった人はどうなるかといえば、小1でも普通に落第になってもう一周となる無慈悲な、ある意味合理的なシステムである。

日本のように補習をやってくれたりすることは一切ないので、親が家庭教師を雇ってなんとかついていけるようにするしかない。

天才(というと大げさだが、所謂よくできる子)にとっては、すでに完全に理解しているつまらない問題を馬鹿みたいに解く必要はない上、先生が積極的により難しい問題を出して能力を伸ばしてくれるので過ごしやすいが、それ以外の人はいつまでたっても理解できず、優しくないシステムだなあと感じてしまう。

ここからわかることは、

②天才へのリソース投下は惜しまない一方落ちこぼれへの救済措置がほとんどない

これはテニスやサッカーなどのスポーツ教室に通わせた場合も同じで、筋のいい子を見つけるとコーチは最優先で指導し、どんどん高度なテクニックを教える一方、筋の悪い子には基本的な打ち方を教えるばかりで次の段階へは進ませてくれない。

これでは筋の悪い子は能力差を明確に見せつけられる羽目になり、よほど好きでない限り嫌になってすぐやめてしまい、別のスポーツや趣味教室に行ってしまうだろう。

親としては我が子にその分野の才能がないことが早々にわかって、より才能のある分野にすぐ移行できるのでいいのかもしれないが。。。

米国に一点集中型の天才が集まりやすい一方、格差が生まれやすい要因なのかもしれない。

まとめると、英米型教育は天才(1%)重視型教育と言えるだろう。早い段階で才覚を現すような早熟天才型の子は有利だろうが、大器晩成型や中下位層は放置されがちで辛い教育システムともいえる。

一方、日本型教育はどちらかというと中下位層(99%)重視型教育。文科省が決めた「平均」に全員が入るよう目指すシステムだ。天才型の子が伸びしろを放置される一方、中下位層にはわかるまで手厚く教えてくれる。入学時に落ちこぼれだった人が先生の熱心な指導により首席で卒業、なんていうこともそれほど珍しい話ではない。

個人的には、(成長スピード次第だが)中学高校くらいまでは日本型で基礎を固めて、それ以降は英米型で才能を一気に花開かせるのがいいのではないか、と思っている。

To be continued…

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